我が家のノアは前回のフロントブレーキパッドとローターを交換してから、既に5万キロ以上は経過しています。
ですが、あまり荒い運転をしてこなかったためか、5万キロも走ったのに交換時期を示すキーキー鳴きもなく、ブレーキパッドはまだ4mm程度と交換基準の2~3mmには達していませんでした。
その摩耗する部分(ライニング)の摩耗限界はディスクブレーキのブレーキパッドの場合で2mm前後。だが、半分近く減っていたら(新品時の厚みは10mm)交換を検討するべきで、もしも残りが2mm以下だったなら、ただちに交換する必要がある。
ただ、60km以上のスピードでブレーキをかけた時にハンドルがブルブルと震える症状(ブレーキローターの偏磨耗やゆがみが原因)が出てき始めたので、ブレーキパッドだけではなく、ローターも一緒に交換しなければならない状態に・・・。
ブレーキローターそのものの摩耗はあまりなかっただけに、ちょっともったいない感じもしますが、しょうがありません。
ブレーキローターの交換時期は新品時から1〜2㎜摩耗した時で、ソリッドディスクで新品時の厚さは9㎜程度でマイナス1㎜程度が交換時期、ベンチレーティッドディスクで新品時の厚さは18〜21㎜程度。この場合はマイナス2㎜程度が交換時期だといわれています。
しかし、国産車の標準装備のディスクローターは、非常に丈夫で、一般的な走行ならば、10万㎞走行でもここまで摩耗することはほとんどありません。
以前までは、ブレーキパッドやディスクローターの交換をディーラーに頼んでやってもらっていたのですが、フロント左右の部品代+工賃で3~4万円も費用がかかってしまうことは分かっていました。
「なんとか安くブレーキパッドとローターを交換することができないか?」
いろいろ調べてみると、ノアやヴォクシーなどのミニバンの場合、購入できる交換部品(フロント左右のブレーキパッド&ローターセット)がネットなら約1万円で購入できることが判明!
そこで今回はディーラーに頼るのではなく、自分でブレーキパッドとローターを交換することに・・・。
実際、ブレーキパッドやディスクローターの交換というと少し難しいイメージがありましたが、実際やってみると特殊な道具は使いませんし、作業自体も2~3時間ほどで完了してしまいました。
今回は、そんなブレーキパッド&ディスクローターの交換作業について、ブレーキパッドやローターの購入方法から、必要となる工具の紹介、そして具体的な作業手順について詳しく説明していきます。
なお、ブレーキパッドだけを交換したい場合、以下の記事が参考になると思います。
ブレーキパッドやローターは自分で交換しても良いのか?
具体的な作業の説明に入る前に、ふと疑問に思ったことがありました。
「ブレーキパッドやローターは、自分で交換してしまってもいいものなのか?」
このことを正しく理解するためには、該当する作業が法律上どのような取り扱いをされているかということを知っておく必要があります。
まず、ブレーキローターの交換作業は、「道路運送車両法施行規則」の中の「分解整備」に該当します。
第三条 法第四十九条第二項 の分解整備とは、次の各号のいずれかに該当するものをいう。
(中略)
五 制動装置のマスタ・シリンダ、バルブ類、ホース、パイプ、倍力装置、ブレーキ・チャンバ、ブレーキ・ドラム(二輪の小型自動車のブレーキ・ドラムを除く。)若しくはディスク・ブレーキのキャリパを取り外し、又は二輪の小型自動車のブレーキ・ライニングを交換するためにブレーキ・シューを取り外して行う自動車の整備又は改造
引用)道路運送車両法施行規則
では、この分解整備というのは誰が行うべきなのかというと、こちらの記事が参考になると思います。
自動車の使用者本人が上記の分解整備を行った場合は、点検整備記録簿に記入し、2年間保存しなければなりません(道路運送車両法第49条2、自動車点検基準第4条2)。以前は、使用者本人が分解整備をしたときは、国の検査場での分解整備検査が義務付けられていましたが、平成10年に廃止になりました。
分解整備も、前ページの定期点検同様、使用者本人で分解整備ができる人は少数派でしょう。そこで分解整備も委託することができます。委託する際は、必ず分解整備事業者(認証整備工場や指定整備工場)に委託してください。分解整備事業者以外が他人の車の分解整備を行うことはできません。
ディスクパッド交換のページでもふれましたが、分解整備は安全上重要な部分の整備です。十分な知識・技術のある方は自分で行ってもかまいませんが、自信のない方は分解整備事業者に委託することを管理人としてはお勧めします。
引用)分解整備の定義|ちょっと得するかも?
自動車の、保安上重要な部位を整備するには、整備士資格が必要という話しがありますが、間違ってないけど正しくないんですよね、これ。
結論から言っちゃうと、自動車使用者が整備(まぁつまり自分の車を自身で整備)する場合には、整備士資格は不要です。
逆に言えば、有償無償を問わず、他人の車の保安上重要な部位を整備するには、整備士資格が必要です。
そして有償ならば地方運輸局の認証を得た工場(認証工場)でなければならない、という具合です。
ちょっと根拠を整理すると、まずは「道路運送車両法」によりますと、第四十七条に「自動車の使用者は、自動車の点検をし、及び必要に応じ整備をすることにより、当該自動車を保安基準に適合するように維持しなければならない。」と書いてあります。
つまり、使用者自身に点検と整備を義務づけています。
そして、第四十七条の二の3項で「自動車の使用者は、前二項の規定による点検の結果、当該自動車が保安基準に適合しなくなるおそれがある状態又は適合しない状態にあるときは、保安基準に適合しなくなるおそれをなくするため、又は保安基準に適合させるために当該自動車について必要な整備をしなければならない。」と記しています。
とは言うものの、気になる条文もあります。整備管理者を選任しなさいという条項(第五十条)です。ただし、これは「車両総重量八トン以上の自動車」に関してですので、一般的な自家用車では該当しませんね。
と、いうことで、全条文を見ても、ど~こにも、分解整備は有資格者が行わなければならない、という記載はありません。
>個人的に友達にやってあげる(してもらう)とかも違法ではありません
これは違法になりますqtynd045さんが言われるように自分のクルマを自分が作業する場合だけ合法になります
>事業としてお金が発生したら資格無いと違法です
事業として無料で作業しても関係ないです、料金の発生は関係ありません
これらをまとめてみると、他人の車を整備する(お金の受け渡しの有無は関係なし)場合は自動車整備士という資格が必要となります(責任問題があるため)が、自分の車を自分で整備する場合は特に資格がなくてもOKということ。
良く考えてみると、ユーザー車検といって、自分で法定点検及び必要整備をして、陸運局で車検を通している人はたくさんいますし、そういった人達は車検に通すために必要な分解整備を自分自身の手で行っているわけです。
ですから、「自分の車を自分で分解整備する」という点については、自己責任で行う分にはOKで、自分で責任が持てない(知識やノウハウがない、自信がない)場合は、有資格者(車屋さん)などに分解整備をお願いするという判断になるのだと考えておきましょう。
なお、ブレーキパッドの交換作業後、それを記録に残す必要はありませんが、例えば車検や法定点検などのタイミングで点検整備記録簿にブレーキパッド残量などを記載する欄がありますので、そこに残り厚さを記載する事になります。
出典)24ヶ月定期点検記録簿
ですので、書類を残す必要があるのはブレーキパッドなどを交換したタイミングではなく、車検などの法定点検(12ヶ月、24ヶ月)となります。
ブレーキパッドの交換は自分で行うけれども、車検は業者に依頼するという場合、過去にブレーキパッドを誰が交換したというのは全く関係ありません。
業者としては車検を受けた時点で、法定24ヶ月点検整備項目の中にあるブレーキパッドの残りやブレーキが効きを業者側で確認し、先程のような記録簿にチェックしていきます。
車検を業者に依頼する際、過去に誰がブレーキパッドを交換したのかということについては、車検を引き受けてもらえるかどうかということに関係ありませんので、ご参考まで。
ブレーキパッド作業可否のポイント
- ブレーキパッドの交換は「分解整備」となる
- 整備士の資格がない人が、他人の車のブレーキパッド交換は法律で禁止されている
- 自分の車であれば法律的には禁止されておらず、自己責任となる(ユーザー車検の考え方)
- 経験などがあり、自分で責任が持てる人以外はDIY交換は避け、有資格者(業者)に依頼する
ブレーキパッドとディスクローター交換に必要なもの
ここからは、ブレーキパッドとディスクローターを交換するために必要なものについてお話していきます。
ブレーキパッド&ローター
まずはじめにお話しておきたいのは、ブレーキパッドとローターをどうやって購入するかと言うことです。
私の場合、自動車整備のプロではないため、どうやって車に合った型番のブレーキパッドとローターを手に入れるかということが課題になっていたのですが、最近はネットショップなどある問い合わせフォームから、自分の車の型式や年式を記載して問い合わせることで、自分の車に合った部品を取り寄せることができます。
ちなみに今回は使ったのはこの部品です。
出典)ノア・ヴォクシー AZR60 AZR65 新品 左右フロント ブレーキ ディスクローター&パッドセット R7B13 |FMパーツ
フロントブレーキとディスクローターのフロント左右2本分セットで約1万円でした。
大切なことは、事前に適合を確認しておくということで、車検証を用意してお問い合わせフォームから適合確認をすることにしました。
適合確認に必要な情報は以下の通り。
ご購入前に必ず適合確認をお願い致します。
車検証より以下の情報を質問欄へご連絡いただければ適合確認させていただきます。★初年登録
★車体番号
★型式指定番号(数字5桁)※【型式】ではないのでご注意お願いします。
★類別区分(数字4桁)引用)ノア・ヴォクシー AZR60 AZR65 新品 左右フロント ブレーキ ディスクローター&パッドセット R7B13 |FMパーツ
私の車の場合、上記のうち、型式指定番号と類別区分というところは車検証に記載がなかったため、上2つの初年度登録と車体番号のみを記載して問合せをしてみました。
その問い合わせに対する回答はこんな感じで返ってきました。
○○様
この度は当方出品商品にお問い合わせ頂き誠にありがとうございます。
確認いたしました所、お問合せ頂きました商品で適合致しました。
ご注文いただく際は、カート内の車台情報を記載する欄に
「メールにて適合確認済み」とご記載下さい。
何卒よろしくお願い致します。
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(お問い合わせ商品) ノア・ヴォクシー AZR60 AZR65 新品 左右フロント ブレーキ ディスクローター&パッドセット R7B13(R7b13_1)
( http://item.rakuten.co.jp/fmparts/r7b13_1/ )
(お問い合わせ内容)
購入検討中で、適合確認をお願いします。★初年登録;平成16年12月
★車体番号;AZR60-○×△
★型式指定番号(数字5桁);自動車検査証に記載無し
★類別区分(数字4桁);自動車検査証に記載無しよろしくお願いします。
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これで今検討している部品が自分の車に適合して言うことがわかったので、この時点でブレーキパッドとディスクローターの注文を行い、注文してから約3日後、ダンボールに梱包されたブレーキパッドとディスクローターが届きました。
このような手順を踏んでいけば、素人でもネットショップに適合確認をしてもらうことで、自分の車に合ったパーツを確実に手に入れられますので、パーツの取り寄せ方の参考にしてみてください。
タイヤ交換に使う車載道具
ブレーキパッドとディスクローターを交換するためには、タイヤを取り外す必要があります。
タイヤ交換するために必要なジャッキとトルクレンチ(車載工具などで可)を1セット準備しておきましょう。
メガネレンチ(13mm、14mm、17mm)
ブレーキ周りのボルトや部品を取り外したりするために、13mm、14mm、17mmのメガネレンチが必要になります。
出典)ディスクブレーキ|AKEBONO
モンキーでも代用可能な場合もありますが、特に14mmと17mmの部分はボルトが固く締め付けられているので、できればメガネレンチを用意しておいたほうがいいと思います。
13mmの方は固着したディスクローターを取り外すときにM8のボルトを締めつけるだけなので、モンキーで代用可能です。
ちなみに、ディスクパッドのみの交換の場合は、14mmのめがねレンチだけ用意すればOKです。
プライヤー&ゴム板
新品のブレーキパッドは、これまで使っていた磨り減ったブレーキパッドより厚みがあるため、それを装着するには事前に前に出たピストンを押し戻しておく必要があります。
本来であれば、専用の工具「ディスクブレーキピストンツール」を使うのですが、プライヤーとゴム板で代用することができます。
SSTなので高いし1ポットのキャリパーならプライヤーで戻しても問題ないと思います。
今回は、自宅にあったプライヤーとピストンに傷をつけないようにするための適当なゴム板を使ってこんな感じでピストンの押し戻しを行いました。
専用のピストンツールもそんなに高価なものではなく、ネットで約3000円程度で購入できます。
プライヤーかピストンツール、どちらでもいいので準備しておいてください。
M8のステンレスボルト
固着したディスクローターを取り外す際には、ディスクローターの中央部にあるサービスホールと呼ばれるネジが切られた穴にM8のステンレスボルトを差込んでいくことによって、がっちりと固着したディスクローターも簡単に取り外すことができます。
M8のボルトに合うレンチのサイズは13mmですが、この作業は強い力を必要としないので、メガネレンチでなくてもモンキーなどで代用可能です。
この方法を知っていれば、手では絶対に外せないような硬く固着してしまったブレーキローターもちゃちゃっと取り外すことができますので、ぜひ覚えておきましょう。
キッチンペーパー
先ほどのページでお話したブレーキのピストンを押し戻すという作業を行うと、ブレーキフルードがリザーバータンクから溢れ出す場合があります。
ブレーキフルードはボディの塗装面などに付着すると、塗装をブヨブヨにやわらかく溶かしてしまいます。
そこで役に立つのがキッチンペーパーです。
こんな感じでキッチンペーパーをリザーバータンクの上にさしておけば、リザーバータンクからあふれ出てきたブレーキフルードを吸い取ってくれるので、あふれ出たブレーキフルードでエンジンルーム内の塗装面を汚す心配がなくなります。
パッドグリス&綿棒
新品のブレーキパッドを取り付ける際に、ブレーキパッドとキャリパーが接触する面(当たり面)にグリスを塗布します。
そうすることによって、ブレーキを踏み込んだ時にキィーというような鳴きを止めることが出来ます。
今回使ったパッドグリスは、一番初めに紹介したブレーキパッドとディスクローターを購入した時にセットで5g程購入しておいたものです。
注意点としては、ブレーキまわりはかなり高温になりますので一般的なグリスではすぐに熱で溶けて流れ出してしまいます。
耐熱温度の高いパッドグリスやカッパーコンパウンド(銅の粉末が混ぜられているグリス)などを使うようにしておきましょう。
パーツクリーナーとボロ布
最後に必要なものは、ブレーキ周りの金属パーツを洗浄するために使うパーツクリーナーです。
ホームセンターなどで200~300円程度で売られているものでOKです。
落ちた汚れやパーツクリーナーをふき取るために、使い古しのタオルなどボロ布も準備しておきましょう。
S字フック
S字フックは、ブレーキキャリパーを取り外した後にサスペンションにキャリパーを引っ掛けるために使います。
S字フックがなかったら、針金や結束バンドなどでも代用可能です。
ノアやヴォクシーなどのミニバンのブレーキパッドとディスクローターの交換で必要なものはこれぐらいで、専門工具をほとんど使わずに作業を進めることができます。
車が一台しかない場合、一旦作業を始めてしまうと、足りないものを買出ししたりすることができなくなるので、ホームセンターの駐車場を使うなどすると安心です。
ブレーキパッドとブレーキローターの具体的な交換手順
ここからは、ブレーキパッドとブレーキローターの具体的な交換方法についてお話していきます。
車をジャッキアップしタイヤを取り外す
まず車載工具&ジャッキを使ってタイヤを取り外していきましょう。
キャリパーの後ろのボルト(14mm、2ヶ所)を緩める
次に、キャリパーの後ろにあるボルトを緩めていくのですが、その前にハンドルをこんな感じで切っておくと作業がしやすくなりますので、右側の作業をする場合は右側にハンドルを切っておくと良いでしょう。
で、緩めるボルト(14mm、2ヶ所)はこちら。
かたく固着している場合がありますので、モンキーではなくメガネレンチを使うことをおすすめします。
下側のボルトを完全に取り外し、上側のボルトを緩めることができると、こんな感じでブレーキキャリパーを持ち上げることができます。
次の工程でブレーキパッドを取り外していきますので、こんな感じでキャリパーを上に持ち上げて固定しておきます。
古いブレーキパッドを取り外す
この段階になると、ブレーキパッドを手で簡単に取り外すことができます。
反対側のブレーキパッドもこんな感じで簡単に取り外すことができます。
取り外したブレーキパッドには再利用する金属のパーツ(シム)が一つのブレーキパッドに1~2枚ほどついていますので、それを捨てないように取り外していきます。
シムはブレーキを踏み込んだ時になるキィー・・・というブレーキ鳴きを予防するためのパーツで、ブレーキパッドのセットに付属していないことがほとんどです。
サーキット走行する人の場合、シムを取り外すことによってブレーキのタッチ感を良くしている(その代わりキィーという音はするようになる)こともありますので、なくてもOKなパーツです。
ただ、一般的にはブレーキは鳴かない方がいいと考える人がほとんどですので、このシムは新しいブレーキパッドに取り付けて再利用していきます。
取り外したシムには相当な油汚れがついていますので、パーツクリーナーやボロ布などを使ってきれいにしておきましょう。
ほとんどの場合、購入したブレーキパッドのセットの中に、このような金属パーツは付属されていませんので、洗浄してきれいにした金属パーツは、新しいブレーキパッドを装着する時に再利用するまでなくさないように保管しておいてくださいね。
キャリパーを取り外す
続いては、先ほど持ち上げておいたキャリパーを完全に取り外していきます。
キャリパーを支えるために緩めるだけにしておいた14mmのボルトを完全に取り外すと、キャリパーを外すことができます。
ここでのポイントは、キャリパーを取り外した後にS字フックなどを使って、キャリパーをサスペンションに吊り下げておくということ。
こうすることによって、キャリパーに繋がっているゴム製のブレーキラインに強い力が加わって破損してしまうのを防ぐことができます。
マウンティングブラケットを取り外す
次は、ブレーキパッドを載せていたマウンティングブラケットを取り外していきましょう。
裏側から覗き込むと、17mmボルトが2本見えてきます。
17mmのメガネレンチを使ってそれらを取り外すと、マウンティングブラケットが外れます。
ようやくブレーキローターの周りがスッキリしましたね。
固着したブレーキローターをM8ボルトを使って取り外す
ここからは、ブレーキローターを取り外していきましょう。
前回のブレーキローターの装着から日が浅い場合はこのままの状態でブレーキローターを取り外すことができるのですが、我が家のノアはもう何年もブレーキローターを交換していなかったので、固く固着してしまっていてゴムハンマーなどで叩いても外すことができませんでした。
そんなときに使うのが、ブレーキローターに空いている穴にM8のステンレスボルトを差し込む(2ヶ所)ことによって、無理やりブレーキローターを引き剥がすと言う方法。
左右のM8ボルトを交互に少しづつ締め付けていくと、「ガコン!」と大きな音がして、ディスクローターが外れます。
ディスクローターが外れた後はこんな感じ。
ここがようやく作業の折り返し地点で、次からは新品のブレーキローターやブレーキパットを取り付けていくことになるのですが、実はこのブレーキパッド&ローター交換は取り付けより取り外しのほうが難しい(固着している事が多いため)ので、ここまでくれば後はもう一息ですので、頑張っていきましょう。
新品のディスクローターを取り付ける
新品のディスクローターを取り付ける方法は簡単で、ただ単にハブボルトに合わせてディスクローターを差し込むだけ。
取り外しには苦労するディスクローターですが、取り付けの方は簡単でいいですね。
マウンティングブラケットを取り付ける
次は先ほど外したマウンティングブラケットを取り付けていきます。
17mmのボルトを2本取り付ければOK。
ブレーキの際に大きな力がかかる場所なので、しっかりと締め付けて起きましょう。
ブレーキキャリパーを仮組みする
次に、ブレーキキャリパーを仮組みしておきます。
ブレーキパッドを取り外す前と同じような感じで、14mmのボルト一本だけを使って、キャリパーを逆立ちさせておきましょう。
前に出っ張っているピストンを押し込む
ディスクブレーキは、ピストンでブレーキパッドをディスクに押し付けることによって作動します。
参考までに、ブレーキの構造がよくわかる概略図を紹介しておきます。
ブレーキペダルを踏むと、ブレーキキャリパーに組み込まれているブレーキパッドが、タイヤと一緒に回転しているディスクローターを両側から押さえ込むことでタイヤの回転を落し、車が止まります。
古いブレーキパッドは磨り減って薄い状態で使用されていたため、現状のままだとピストンと呼ばれる円筒上の金属部品が前に出っ張った状態になっています。
新品のブレーキパッドを取り付けるためには、事前にこのピストンを押し込んでおかないといけません。
今回は、あり物のプライヤーとゴム板(ピストン保護)を使ってピストンを押し込みました。
ピストンを押し戻す作業は結構な力が要りますので大変な作業ですが、あまりにも頑張って力を入れすぎるとピストンに傷が付いてしまったりすることもあるので、少しずつ慎重にピストンを押し戻していきましょう。
グリスを塗布する
ここからは新品のブレーキパッドを取り付ける前に、ブレーキパッドがスムーズに動くように、ブレーキパッドが接するパーツの周りにグリスを塗布しておくきましょう。
ブレーキパッドにセットする鳴きどめ防止の金属パーツ(シム)のブレーキパッド側の面に、綿棒などを使ってグリスを塗布します。
基本的にグリスは薄く塗布すればOKで、グリスを塗り終わったらブレーキパッドにセットしていきます。
もう一つのブレーキパッドの方も同じようにグリスを塗布して、金属パーツをパッドにセットしておいてくださいね。
その他にグリスを塗布する場所は、マウンティングブラケットとブレーキパッドが接するこの部分。
まずは、表側のブレーキパッドをはめ込む部分(上下)にグリスを塗布していきましょう。
裏側のパッドをはめ込む部分にも同様にパッドグリスを塗布しておきます。
後は、ブレーキパッドが接するブレーキキャリパーのこの面と、ピストンの当たり面にもグリスを薄く塗っておいてください。
注意点としては、ディスクローターにパッドグリスが付かない様にすること。
もしディスクローターにグリスがついてしまったら、ブレーキが効きにくくなってしまいますので、ディスクローターに付着したグリスは布とパーツクリーナーなどを使って、きれいにふき取っておきましょう。
ここで紹介している一連のグリス塗布をやらない人もいますが、これをやっておかないとブレーキを踏み込んだ時にキィ・・・という感じで鳴いてしまう確率が高くなります。
パッドグリスをシムやマウンティングブラケットなどの当たり面に塗っておけば、高い確率でブレーキの鳴きを防止することが出来ますので、ぜひこのタイミングで施工しておくことをおすすめします。
新品のブレーキパッドを取り付ける
ここからは、新品のブレーキパッドを取り付けていく工程です。
もともと取り付けてあった様にマウンティングブラケットの溝にブレーキパッドの突起部を上手くはめ込んでいきましょう。
裏側も同様にブレーキパッドを取り付けていくのですが、その前に、ブレーキパッドにパッドセンサーを取り付けておきましょう。
パッドセンサーとは、こんな感じの金属パーツで、ブレーキパッドの残量が少なくなると、「キィ~~~・・・」という不快な音を発して知らせてくれるパーツです。
今回はブレーキパッドのセットに含まれていましたので、それを使いましたが、取り外した古いブレーキパッドについていたものを再利用してもOKです。
このパッドセンサーを裏側に取り付けるブレーキパッドにこんな感じでセットしておきましょう。
パッドセンサーを取り付けたら、ブレーキパッドをマウンティングブラケットに取り付けていきます。
両面ブレーキパッドを取り付けるとこんな感じになります。
だんだんとブレーキらしくなってきましたね。
ブレーキキャリパーを元に戻す
続いては、逆立ちさせておいたブレーキキャリパーを元に戻していきます。
この時、ブレーキパッドに取り付けたあのペラペラの金属パーツがキャリパーの先端に干渉しないように少し押さえながらキャリパーを挿入していくと上手く組み付けることができます。
あとはブレーキキャリパーを固定する14mmのボルト(2本)をしっかりと絞めれば、右側のブレーキパッドとローターの部品交換は完了です。
ブレーキキャリパーボルトの締付けトルクについては、ディーラーなどに確認すれば正確な値を知ることができます。
ちなみに、一般的なボルトの締付けトルク(自動車、1.8系列[N・m])は以下のようになっていますので、ご参考まで。
- M10細目(14mmのレンチ)→ 44N・m (4.4kgf・m)
- M12細目(19mmのレンチ)→ 76N・m (7.6kgf・m)
これでリア左側のブレーキパッドとローターの部品交換は完了です。
左側のブレーキも同様の手順でブレーキパッドとローターを交換してあげてください。
ブレーキフルードの量を確認する
ブレーキパッドやブレーキローターを交換した後は、ブレーキパッドの厚みが増す分、ピストンが押し戻され、ブレーキフルードが規定量(MAX)より増えてしまう場合があります。
一番最初にブレーキフルードのリザーバータンクにキッチンペーパーを置いておいたのは、それによってブレーキフルードがリザーバータンクからあふれ出ないようにするためでしたよね。
ここで一度、ブレーキフルードの量が規定値の中に納まっているか、確認していきます。
まずはじめに、エンジンをONし、ブレーキを2~3度、奥までしっかりと踏み込みます。
その後、エンジンを止め、ブレーキフルードが規定レベルに収まっているか確認してみましょう。
今回の場合、ブレーキパッドもあまり減っていなかったこともあり、ブレーキフルードの量は若干増えた程度で、特に調整をする必要はありませんでした。
ピストンを押し戻す量が多い場合、リザーバタンクのブレーキフルードが溜まってしまっている事があります。
ブレーキフルードが既定量より多く入っている場合は、スポイトなどを使って規定量に収まるように調整しておきましょう。
お疲れさまでした。
これで、ブレーキパッドとローターの交換は完了です。
最後に一言
今回は、【保存版】自分でブレーキパッド&ローターを交換する方法についてお話しました。
ブレーキパッドやブレーキローターの交換は2~3時間程時間がかかりますが、作業自体はそこまで難しいものではありません。
特に1度やってしまえば、2度目以降はチャチャッとできるようになると思います。
注意してもらいたいことは、ブレーキ交換後は「一度ゆっくりと動き出してはブレーキ」という感じでブレーキの効きを確かめてもらいたいという点です。
作業自体は簡単なので間違うことはないと思いますが、万が一、何か異変があった場合にすぐに停車できるスピードで試運転をすることが最も重要です。
作業が簡単だからと言って、自分が行った作業の結果を検証せずにいきなり速いスピードで走り出すなんてことは絶対にやめましょう。
また自分で作業するのが不安な場合は、決して無理はせず、プロにお願いするのがいいと思います。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!