車を購入してから10年ぐらい経った頃の車検や法定点検で交換部品の必要がありますと言われるのが、ロアアームのボールジョイントブーツです。
ボールジョイントブーツは黒色のゴム製のパーツで、ボールジョイントの周りにたっぷり塗りつけたグリスが飛び散らないようにするための部品(片側1個で500円程度)です。
ボールジョイントの周りをこのような構造にすることによって、ボールジョイント内部に水分が侵入し、内部が錆びて固着するのを防いでいます。
ただ、このゴム製のブーツはだいたい10年ぐらい経ってくるとひび割れがひどくなって穴が空き、中のグリスが飛び出してしまうことがよくあります。
このような状態だと車検に通らないため、修理する必要があるのですが、ボールジョイントが錆びついて固着してしまっているような場合、ボールジョイントの打ち替え交換、またはロアアームごと交換しなければならなくなってしまいます。
こうなってしまうと数万円の修理費用を覚悟しなければならなくなりますので、そうなる前にボールジョイントブーツを事前交換しておくのがベターです。
そう思ってボールジョイントブーツを交換しようと思っても、車屋さんにお願いした場合、交換費用の相場は1箇所あたり5000~10000円もしてしまいます。
色々と検討した結果、自分でパーツを取り寄せ、DIY交換することにしました。
今回は、そんなロアアームのボールジョイントブーツを自分で交換する具体的な方法について、写真付きでステップ毎に詳しくお話してきます。
なお、タイロッドエンドブーツの交換方法については、こちらの記事で紹介しています。
ボールジョイントブーツを交換するために必要なものについて
まずはじめに、ボールジョイントブーツを交換するために必要なものについてお話していきます。
【必要なもの1】ボールジョイントブーツ
ボールジョイントブーツは、ネットショップで購入(約500円/個)することができます。
車種ごとに種類が異なるため、適合確認が出来るショップで購入するのがおすすめです。
例えば、モノタロウというネットショップでは車検証に記載の情報を入力すれば、適合する部品を見つけられる自動車部品検索というものがありますので、それを利用するのがおすすめです。
下記のようなページが開いたら、車検証に記載の「型式」、「型式指定番号」、「類別区分番号」を入力します。
すると、検索結果が表示されますので、上から順に「車種」、「ゴムパーツ」にチェックを入れ、「検索」をクリックしていきましょう。
ここで適合するパーツがズラッと表示されますので、その中からボールジョイントブーツを必要数量(フロントの左右を同時交換する場合は2個)購入しておきましょう。
【必要なもの2】グリス
ボールベアリングブーツを交換する際、中に充填されていた古いグリスは拭き取って取り除き、あたらしいグリスを充填します。
グリスはモノタロウで売られていた等速ジョイント用のグリス(約300円、150g)を使いました。
【必要なもの3】ボールジョイントプーラー
ボールジョイントブーツを交換するためには、ボールジョイントを抜き取る必要があります。
その際に使うのがボールジョイントプーラーで、アマゾンなどで1500~2000円程度で購入することができます。
ネットなどではハンマーで叩いて取り外す方法なども紹介されていますが、うまく外せないことも多々ありますし、何より足回りを痛めてしまうこともあります。
ボールジョイントプーラーを使ったほうが短時間で確実に作業を進めていくことができますので、このタイミングで購入しておくことをおすすめします。
【必要なもの4】マイナスドライバーとカナヅチ
マイナスドライバーと金槌は、マイナスドライバーの先端を金槌で隙間に叩き入れ、ブーツを取り外す際に使います。
ドライバーを叩く力はそこまで強くありませんので、貫通ドライバーでなくても普通のマイナスドライバーで代用してもOKです。
【必要なもの5】プライヤーと治具(自作)
ボールジョイントブーツを取り付ける際、ボールジョイントブーツとぴったり同じぐらいの内径のパイプを切断した自作治具を使い、プライヤーで挟み込んで挿入していきました。
今回(ミライース)の場合、単管パイプの足場パーツ(約300円)にボールジョイントがピッタリと収まる感じだったので、このパーツを電動グラインダー(ホームセンターでレンタル、2泊3日で300円程度)で切断して治具を自作しました。
プライヤーだけでもブーツを挿入することも可能ですが、こういった治具を使ったほうがブーツに傷をつけずに挿入することができますので、ご参考まで。
【必要なもの6】メガネレンチ
メガネレンチは、足回りのパーツを固定しているボルトナットやボールジョイントのナットを外したりする際に使います。
今回は14mmと17mmのサイズのものが必要となりましたが、車種によってメガネレンチのサイズが若干異なりますので、ご自身の車にあったサイズのレンチを準備しておきましょう。
【必要なもの7】針金または長めの結束バンドなど
針金は、取り外した足回りのパーツを作業のじゃまにならないようにぶら下げておく際に使います。
長めのタイラップなどでも代用できます。
【必要なもの8】タイヤ交換に必要な道具
ボールジョイントの交換作業はタイヤを取り外して行います。
タイヤ交換に必要な道具一式(ジャッキ、タイヤレンチなど)も準備しておきましょう。
ボールジョイントブーツの交換方法
ここからは、ボールジョイントブーツの具体的な交換方法についてお話していきます。
【STEP1】ジャッキアップしてタイヤを取り外す
ここからはボールジョイントブーツの具体的な交換手順についてお話してきます。
まず、車をジャッキアップしてタイヤを取り外しましょう。
安全のため、取り外したタイヤは車体下に入れておき、万が一ジャッキが外れても大丈夫なようにしておくのがベターです。
【STEP2】ボールジョイントを切り離す
次に、ボールジョイントをロアアームから切り離していきます。
ボールジョイントの上についているピンを取り外します。
そして、めがねレンチを使ってボールジョイントのナットを緩めていきます。
ナットが緩んだら、ボールジョイントのネジとナットがツライチ(凸凹がない状態)になる位置にしておきます。
この状態でボールジョイントプーラーを取り付け、レンチを使ってプーラーを締め付けていきます。
すると、「バンッ!!」と大きな音がして、ボールジョイントがナックルから分離します。
ナットはつけたままになっているので、何かが抜け落ちたり飛んできたりすることはないのですが、結構音が大きくてびっくりすると思います。
【STEP3】サスペンションとナックルを分離する
次に、サスペンションとナックルを分離していきます。
サスペンションとナックルを固定しているボルト2本をメガネレンチなどで取り外しましょう。
この際、ナックルにセンサーなどがついている場合、それも一緒に取り外しておいてください。
そして、ナックルを針金で釣り上げ、作業のじゃまにならないところに吊り下げておきます。
これで、ボールジョイントブーツを交換できるスペースができました。
【STEP4】ボールジョイントブーツを取り外す
ここからは、ボールジョイントブーツを取り外してきます。
まず、マイナスドライバーをボールジョイントブーツとロアアームの隙間に押し当て、ハンマーでトントントンっと軽く叩き入れます。
すると、ブーツとロアアームの隙間ができますので、マイナスドライバーを捻ったりして隙間を広げ、ブーツを取り外していきます。
取り外したブーツと新品のブーツを比較してみると、こんなにも劣化変形していることがわかります。
【STEP5】新しいブーツを取り付ける
ここからは新しいブーツを取り付けていきます。
まず、ボールジョイントについている古いグリスをボロ布などできれいに拭き取ります。
ここに新しいグリスをたっぷりと塗りつけていきます。
一番下の部分(ブーツを圧入する部分)にグリスがついてしまった場合は、その部分だけボロ布で拭き取っておいてください。
そして、新しいブーツを被せていきます。
ここで事前に作っておいた治具を上から被せ、プライヤーを使ってブーツを圧入していきます。
これで、ブーツの取り付けは完了しました。
【STEP6】逆の手順で組み立てていく
後は、逆の手順で組み立てていきます。
まず、ナックルをボールジョイントにはめ込みます。
そして、サスペンションとナックルをつなぐボルトを規定トルク(車種ごとに異なる、サービスマニュアル参照)で締め付け、取り付けたセンサーを取り付けておきます。
その後、ボールジョイントのナットを規定トルクで締め付けます。
ぼるジョイントのネジが空回りしてしまう場合は、ジャッキなどを使ってロアアームを下から少し押し上げながら締め付けると共回りを防ぐことがデキますので、ご参考まで。
最後にすべてのボルトやナットが規定トルクで締まっているかしっかりと確認すれば、ボールジョイントブーツの交換作業は完了です。
最後に一言
今回は、ロアアームのボールジョイントブーツ交換費用の相場とDIY交換方法まとめについてお話しました。
ロアアームについているボールジョイントブーツは車検でよくチェックされる項目ですし、ブーツが破れて水が侵入し、ボールジョイントにダメージが出てしまってからだと、ロアアーム一式交換になることもあります。
ブーツだけであれば1個数百円で購入できますので、ブーツのひび割れがひどくなってきたら交換しておくことをおすすめします。
ちなみに、このロアアームのブーツの交換はタイロッドエンドブーツの交換と同時に行っておくと作業が2度手間になりませんので、このタイミングで一緒に行っておくといいでしょう。
ただ、交換作業に不安がある場合はプロにお願いして交換してもらうようにしましょう。
もし可能であれば、その作業を見学させてもらって次回やるときの参考にするというのも一つの手です。
是非参考にしてみてください。
それでは!