イエローハットのスタッドレスタイヤの性能と耐久性を追跡調査(ice FRONTAGE編)

アイスフロンテージのタイヤ表面の状態

一般的なスタッドレスタイヤ半額程度で買えてしまうイエローハットのプライベートブランド「ice FRONTAGE」。

このタイヤは本体価格が安いものの、その他の格安のアジアンタイヤとは異なり、日本のTOYOタイヤの技術を使って製造している(生産国は日本ではないが・・・)という事もあり、約1年ほど前にタイヤ代節約のために思い切って購入してみました。

実際に使用してみた実感としては、雪上での走行は他のスタッドレスタイヤと遜色ないグリップ力を発揮していましたが、乾いた路面での乗り心地は少しふわふわした感じで、若干頼りない感じです。

気になる凍った路面ではスタッドレスタイヤとして最低限のグリップは確保できているという印象でした。

今回は、そんなイエローハットのスタッドレスタイヤの実際の性能や耐久性について、残り溝の測定やゴムの硬度測定、タイヤ表面のヒビ割れの状態という視点も含めて、詳しくお話していきます。

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スタッドレスタイヤの性能について

今回実際に購入して調査したタイヤは、イエローハットで売られている格安スタッドレスタイヤの「ice FRONTAGE」です。

このタイヤはTOYOタイヤの技術を使って日本のタイヤメーカーがマレーシアなどで製造しているもので、それをイエローハットがプライベートブランドとして販売しています。

タイヤのパターンはTOYOタイヤの「ガリットG5」に少し似ていますが、溝の形状など細かな部分が異なるため、新開発のタイヤということになります。

イエローハットのスタッドレスタイヤice FRONTAGE

ただし、タイヤのゴム素材は一般的なTOYOタイヤ系のもの(ブリジストン製のスタッドレスタイヤのような発泡ゴムではない)となるため、スタッドレスタイヤの氷上性能に影響するタイヤの硬度の経年変化に対しては弱いのではないかと推測できます。

実際にイエローハットで店員さんに聞いた感じだと、意外にもこのタイヤをおすすめはしてこない様子で、どちらかと言うとそれよりも「主要ブランドの他のタイヤのほうが良いですよ~!」と言っていました。

iceFRONTAGEのタイヤバランスについて

iceFRONTAGEのタイヤバランスについて

タイヤのバランスが悪いと、高速走行時などにタイヤが上下左右に振動してしまい、ハンドルがブルブル震えるなどといった症状が発生します。

格安タイヤの中にはタイヤそのものの重量バランスが極端に悪い物もあり、タイヤバランスをとるためにおもりを大量に取り付けなければならなかったりするものもあります。

今回紹介しているiceFRONTAGEのタイヤバランスを調整するために取り付けられたおもりの量は以下の通りでした。

No.in[g]out[g]
11515
21555
33035
4100

今回タイヤを取り付けたホイールはアルミホイールなので、取り付け位置の関係上、鉄チンホイールよりカウンターウェイト(おもりのこと)をたくさんつけなければなりません。

また、この取り付けられた重りの量は、タイヤだけではなくホイールの重量バランスの偏りも含めた形になっていたりするため、あくまでも参考程度の数値と言えます。

それらのことを考慮すると、国産タイヤでもこの程度の重りが貼り付けられているタイヤはたくさんありますので、私が購入した4本のタイヤに限って言えば、特に目立ってタイヤの製造精度が悪いということはありませんでした。

実際の走行結果(性能)について

ここからはこのタイヤを車に装着して走行した結果についてお話していきます。

実際に走行してみた感想としては、雪のない乾燥路面やウェット路面に関しては普通のスタッドレスタイヤより若干フワフワした乗り心地で、コーナーなどでは頼りない印象を受けました。

これはタイヤのゴムが柔らかいことと、トレッドのブロック(タイヤの凸凹のこと)が小さく、またサイプ(ブロックに入っている切れ込みのこと)が無数に入っているため、タイヤ表面の剛性は弱く(柔らかく)なっているイメージです。

イエローハットのスタッドレスタイヤice FRONTAGE

ただし、これは絶対的なグリップ力が極端に低い(例えば、コーナリング中にタイヤが滑り出してしまう、スリップする)ということではなく、ブレーキの踏み始めやハンドルの切り始めなどは一瞬このブロックがたわむため、「フワッ」とする感覚があり、特に固いゴム材が使われている夏タイヤからこのスタッドレスタイヤに交換した直後は、それを強く感じてしまうことが原因だと考えられます。

逆にブロックの剛性が弱いということは、ドライバーの急な操作を路面に伝わりにくくする効果があります(積雪や凍結路面でのスリップは急な操作に原因があることがほとんど)ので、積雪や凍結路面ではこのブロックが柔らかいということは安定性が増すことを意味することも理解しておきましょう。

このスタッドレスタイヤで特に関心した点は、乾燥路面においてロードノイズがかなり小さいということです。

今までは主要メーカーの発泡ゴムが使われたスタッドレスタイヤを履いてきたため、乾燥路面を60km以上のスピードで走っている時に聞こえてくる「ブーン・・」というようなスタッドレス特有のロードノイズが気になっていました。

でも、このスタッドレスタイヤは夏タイヤのものを柔らかくしたようなゴム材を使っている(発泡ゴムではない)ため、ロードノイズが小さく、雪が降っていない状況ではかなり快適な印象です。

さて、気になる雪上の性能ですが、体感的には有名なブランドのものとほとんど変わらないかという感じです。

雪道のアイスフロンテージの性能

走行試験など、精密なテストをやっていけば、限界性能付近で多少の性能差はあるのかもしれませんが、普通に雪山にスキーに行って帰ってくるという使い方ぐらいまでは全く問題ありませんでした。

アイスバーンも走行しましたが、以前使っていた国産の有名ブランドのものとほとんど同じレベルの制動力でした。

アイスバーンの上なので他のスタッドレスタイヤと同じように、基本的に急ハンドル、急ブレーキは受け付けませんが、ポンピングブレーキ、スピードを落としてゆっくり走行すれば、夏タイヤのように全く動けなくなるということはなく、ちゃんとアイスバーンを抜け出し走行し始めることができました。

これらのことを総括すると、このスタッドレスタイヤは乾いたアスファルト路面での静粛性の高さが特徴であり、比較的温暖な地域で年に1~2回の雪に備えるためにスタッドレスタイヤを装着しているような人向けのものであると感じました。

タイヤの耐久性について

タイヤの耐久性については、残り溝の測定とゴムの硬さなどを測定してみました。

アイスフロンテージの残り溝深さ

新品時の溝深さ約10mmに対して、ワンシーズン走行後の残り溝は約6mmでした。

私の場合、スタッドレスタイヤはワンシーズンで約1~2mm減るというのが通常ですので、このタイヤは若干タイヤの減りが早い部類に入るのではないかと思います。

スタッドレスタイヤの溝は5mm以下(新品時の溝深さに対して50%)になると交換が必要となりますので、タイヤ溝だけで評価するとあとワンシーズン使えるかどうかという感じです。

タイヤの表面の状態を観察してみると、特にシワやひび割れ等は見られず、いい状態を保っています。

アイスフロンテージのタイヤ表面の状態

触ってみた感じもまだゴムは柔らかめで、実際に硬度計を使ってタイヤのゴム硬度を測定した結果、約56という数値を示していました。

アイスフロンテージのタイヤのゴム硬度

新品のスタッドレスタイヤの硬度は40~50ぐらいが一般的で、60以上になると交換時期となります。

ちなみに、夏タイヤの新品時の硬度は65~70前後です。

ゴムの硬度変化という点においても、タイヤの減りと同様に早く劣化していく部類に入ると思われ、あと1シーズン使えるかどうかという印象となりました。

価格が安いスタッドレスタイヤですので、タイヤが柔らかいうちに使い切って、1~2シーズンでまた新品に交換するという使い方を想定してタイヤを開発していると思われます。

タイヤライフや組み換え工賃なども含めて考えていくと、このイエローハットのスタッドレスタイヤは本体価格は格段に安いものの、タイヤのトータルライフという視点から考えるとそこまで割安なものではないのかもしれませんね。

最後に一言

今回は、イエローハットの格安スタッドレスタイヤの性能と耐久性を追跡調査( ice FRONTAGE )についてお話しました。

このタイヤは性能面からはウィンタータイヤとしては普通のレベルで、タイヤの耐久性という意味でいうと、このタイヤは減りが早く、ゴムが固くなりやすいタイヤという印象です。

このタイヤの使い回しパターンとしては、スタッドレスタイヤとして2シーズン使い、その後はそのまま夏タイヤとして1シーズン使用、そしてその後は新しいタイヤに買い換えるというのがベターだと思います。

これらの内容を参考にしつつ、ご自身の走行スタイルに合ったタイヤを選んでいきましょう。

なお、オートバックスのプライベートブランドのスタッドレスタイヤ「North Trek N3i」についても、実際に使用してみた感想をのせておきましたので、是非参考にしてみてくださいね。

>>オートバックスの格安スタッドレスタイヤの性能と耐久性を追跡調査(North Trek N3i)

それでは!

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