冬が近づいてきたらやらなきゃいけないと思うことといえば、夏タイヤをスタッドレスタイヤに交換することですよね。
特に輸入車などを購入した後の初めてのタイヤ交換では、日本車と輸入車のタイヤ周りの構造に違いがあることから、どうやってタイヤ交換すればいいのか分からず困ってしまうことがあります。
そこで今回は、輸入車(BMWなど)のタイヤ脱着の具体的な作業手順についてお話していきます。
タイヤ交換に必要な物
まずはじめに、輸入車のタイヤ交換に必要なものについてお話していきます。
ジャッキ
タイヤを交換するためには、ジャッキを使って車体を持ち上げる必要があります。
ジャッキアップの方法はこんなイメージで、日本車と同じようにジャッキアップすることができます。
その際に使うジャッキは日本車と同じものでOKですので、これまで使っていたジャッキを流用してもいいでしょう。
トルクレンチ&ソケット
タイヤを固定しているボルトを締付けたりする時に使うのがトルクレンチと呼ばれるものです。
トルクレンチを使うと、ボルトの緩みによるタイヤの脱落や、ボルトの絞めすぎによるねじ山の破損などを未然に防ぐことができます。
ちなみにBMWの場合、ホイールを固定するボルトの適正な締付けトルクは日本車より若干高めとなっています。
「 日本車やったら だいたいこのくらいで大丈夫 」という数値(締付けトルク)を教えてくれました。
その数値が
軽自動車 70~90N・m(7~9kgf・m)
普通自動車 90~110N・m(9~11kgf・m)ただし、トルクは車から出ているボルトの太さで変わるので、正確に知りたい場合はディーラーに電話して聞くと教えてくれるはずです。
引用)トルクレンチの使い方|タイヤ交換の締付けトルクは何キロ?|みやっちょのまめちっぷす
BMWのサービスマンより、締め付けトルクはあらかじめ聞いてあります。
ディーラーでは、高めぎりぎりの120Nmで、締め付けているそうです。
筆者の場合は、少々の走行の後、増し締めを実施するので、115Nmで締めます。
【ホイールナット締め付けトルク基準値】
105N・m 国産車
120N・m BMW、アウディ、VW
130N・m ポルシェ
140N・m メルセデス
ちなみに、本来の締付けトルクの決め方はボルトの形状(主に太さなど)や用途によって変わってきます。
用途別にトルクが規定されており、例えば自動車の場合、1.8系列の締め付けトルクで固定することになります。
また締め付けトルクはねじのサイズによって値が変わります。大きなねじ程、大きな締め付けトルクとなります。
一番正確なのは、サービスマニュアルに載っている値を用いるか、またはディーラーなどであなたが乗っている車の車種を告げて、その車に合った締付けトルクを教えてもらえれば良いでしょう。
トルクレンチそのものはカー用品店やホームセンターなどで4000~5000円程度で手に入れることができます。
トルクレンチに取り付けるソケットのサイズは、BMWの場合17mmのものが多いようです。
ただし、メーカー毎にサイズが異なっていますので、こちらのサイトのソケットサイズ(二面幅というところ)を確認して、自分の車に必要なソケットのサイズを確認しておきましょう。
空気入れ
タイヤは保管する際に空気を抜いている場合が多いので、タイヤ交換する前にタイヤに空気を入れておく必要があります。
このような車載電源(シガーソケット)に接続して使うタイプの空気入れ(約3000円)を持っていない場合は、事前に自由に使える空気入れが設置されているセルフガソリンスタンドにタイヤを持っていって空気を入れておいてもいいでしょう。
空気圧については、運転席側のドアの辺りのシールに規定値が記載されていますので、そちらを参考にしてください。
カパーコンパウンド(固着防止用のグリス)
カッパーコンパウンドは、ホイールを固定しているボルトに塗っておくことで、締付けトルクの均一化やネジ山の固着防止、そしてセンターハブとホイールが固着してしまうことなどを防止するために使います。
このようなカッパーコンパウンドはネットショップなどで2000円ぐらいで購入することができます。
数年後もボルトやホイールが固着しておらず、楽にタイヤ交換できるようにするためには、このような防錆、防固着グリスを塗布しておくことがとても大切です。
このグリスを購入するための出費は決して無駄にはなりませんので、ぜひこのタイミングで購入しておくことをおすすめします。
タイヤ交換の具体的な手順
ここからは、タイヤ交換の具体的な手順についてお話していきます。
ジャッキアップする
まずはじめに、車の下側を覗き込んでジャッキアップポイントを探しましょう。
そのジャッキアップポイントにジャッキの頭をセットアップしていきます。
こんな感じでジャッキをセットすることができたら、後はタイヤが浮き上がる寸前のことろまでジャッキアップしていきましょう。
タイヤが完全に浮き上がってしまうと、ホイールボルトを緩めていく段階でホイールが空転してしまってうまくホイールボルトを緩めることができないことがあります。
ですので、タイヤが完全に浮き上がってしまう直前のところでジャッキアップを止めておいてくださいね。
ホイールボルトを緩める
次はホイールボルトを緩めていきましょう。
BMWなどの場合、5つのホイールボルトのうち一つは盗難防止用のナットが使われていて、そのナットにはプラスチック製のカバー(上の写真の左下)が取り付けられています。
そのプラスチックカバーを取り外す方法は、ソケットを挿入してソケットをクリクリッと斜め方向に動かすと、こんな感じでカバーを取り外すことができます。
カバーが外れたら、次はトランクなどに置かれている車載工具の中などに備え付けられている盗難防止用ナット用のアダプターを探しましょう。
このアダプターを先ほどカバーを外した盗難防止用ボルトの頭のところに取り付けます。
後は、ホイールを固定しているボルトを対角線上に緩めていきましょう。
この時点ではホイールボルトを完全に取り外してしまわず、工具を使わずに手で緩められる段階まで緩めておくだけでOKです。
タイヤを取り外す
すべてのボルトを緩め終わったら再度ジャッキアップして、タイヤを地面から完全に浮かして、ボルトを取り外していきましょう。
ボルトをすべて取り外したらタイヤを手前側に取り外していきます。
日本車の場合、ハブボルトがハブ側から突き出ていると思いますが、輸入車の場合はこのようなハブボルトでホイールを固定する形になっています。
特にこの違いによって作業手順が変わるということはありませんが、このような違いがあることを知っておくとよいでしょう。
ボルトやネジ穴、ハブ周りを清掃&防錆、固着防止加工する
タイヤ交換でよく忘れがちなのが、ボルトやネジ穴、ハブ周りの清掃&注油です。
ホイールを止めているナットやネジ穴の辺りをよ~く見てみると、小さな金属カスが付着していたり、センターハブの部分なんかはサビが出てきたりしていることと思います。
それらをほったらかしにしたまま何度もボルトを締めたり緩めたりするとねじ山を痛めて固着させてしまいますし、センターハブのサビが大きくなってくるとホイールがハブと固着してしまって、ホイールを取り外すのがとても大変になってしまいます。
ですので、まず、パーツクリーナーなどを使って金属カス等を洗い流しておき、その後、ボルトやハブリングにカパーコンパウンドと呼ばれる固着防止グリス(ネットで2000円ぐらい)をうす~く塗っておきましょう。
たったこれだけのことですが、ねじ山を固着させてしまうとブレーキローター&ボルトを交換しなければならなかったり、ホイールがセンターハブと固着してしまっていると、無駄な労力を必要としてしまい、タイヤ交換がとてつもなく大変になってしまいます。
今後数年後も今と同じようにうまくタイヤ交換をやっていけるかどうかは、この作業をやっておくかどうかで変わってきますので、ぜひやっておくことをおすすめします。
ホイールを取り付ける
ここまで準備ができたら、後はホイールを取り付け、ボルトを締付けていきます。
締付ける順番はホイールを緩める時と同様に、対角線上のホイールから順番に締付けていきます。
このときに、トルクレンチと呼ばれる工具を使うと、正確な締付けトルク(前のページを参照)でボルトを締付けることができるので、ぜひこの際に購入しておくと良いと思います。
これでタイヤ交換作業はおしまいになるわけですが、タイヤ交換後は10~20kmぐらい走行した後に、もう一度トルクレンチでボルトがちゃんとしまっているかどうか確認することも忘れずにやっておきましょうね。
最後に一言
今回は、【日本車とはここが違う!】輸入車のスタッドレスタイヤ交換方法(BMW編)についてお話しました。
日本車と輸入車では、ハブ周りの構造や締付けトルクなどに若干の違いはありますが、基本的な作業手順は同じです。
みなさんもぜひ一度、輸入車のタイヤ交換に挑戦してみてくださいね。
それでは!