ブレーキを踏むたびに「キー・・・」と聞こえてくる異音。
基本的にはこの音が聞こえてくるタイミングとしては、ブレーキパッドが減ってきてパッドセンサー(金属の棒のようなもの)がローターに接触してワザとこのような音を出して、ブレーキパッドの交換時期を知らせてくれることがあります。
ただ、ブレーキパッドを交換したにもかかわらずキーキー音が収まらない、まだパッド残量は十分にあるはずなのにキーキー音が聞こえてきて耳障りだということがあると思います。
「どうにかこのブレーキのキーキー音を止めることができないものか?」
いろいろと調べた結果、ブレーキの鳴きを止める対策方法は以下のようなものがあることが分かりました。
- ブレーキパッドを交換する
→安物のメタリック材のパッドはブレーキの効きは良いが鳴きやすい、ノンアスベスト材の鳴きにくいパッドに交換する。パッド交換のため対策費用が高くなるのがデメリット。 - ブレーキの鳴き止め材を塗布する
→ブレーキの鳴き止め剤をパッド側面やローター表面に塗布することで、鳴きを防止する。制動力が落ちる可能性があるのがデメリット。 - パッド裏面やシムにパッドグリス(カッパーコンパウンドなど)を塗布する
→パッド裏面へのグリス塗布なので制動力は落ちない、グリスは数百円で購入可能なので安上がり。ブレーキ周りを分解するのでDIYスキルが必要。
いろいろと検討した結果、ブレーキの制動力を落とさず費用を安く抑えることができるブレーキパッドの裏側にパッドグリスを塗布する方法に挑戦してみることにしました。
今回はこのブレーキパッドの鳴き止めの具体的な施工方法について、写真付きで詳しくお話していきます。
ブレーキの鳴き止めに必要なもの
まずはじめに、ブレーキの鳴き止めに必要なものについてお話していきます。
パッドグリス
ブレーキの鳴きを止めるため、パッドグリスをブレーキパッドとキャリパーが接触する面(当たり面)やシムなどに塗布していきます。
これによってブレーキパッドとシム(金属のプレート)に挟まれたパッドグリスがブレーキで発生したキィーというような鳴きを減衰吸収してくれます。
このパッドグリスはネットショップなどで購入することが可能で、量り売りのものだと5~10グラム(ブレーキパッド2輪分)で200~300円程度、100gのチューブタイプだと1000円ぐらいで購入できると思います。
なお値段は高いですが、Wako’sのブレーキプロテクターはブレーキの鳴き止めに効果が高いという評判なので、ご参考まで。
今回はパッドグリスの代わりに、自宅にあったカッパーコンパウンドと呼ばれる耐熱グリス(銅粉が混ったグリス、耐熱温度が約1200℃)を代用しました。
ブレーキパッドはブレーキング時にかなり高温になりますので、耐熱温度が低い一般的なグリスを使ってしまうと、熱でグリスが溶け出してしまい、最悪ブレーキが効かなくなるというような可能性があり危険です。
必ず、パッドグリスやカッパーコンパウンドなど耐熱温度が1000℃以上あるようなグリスを使うようにしましょう。
タイヤ交換に使う車載道具
ブレーキパッドとディスクローターを交換するためには、タイヤを取り外す必要があります。
タイヤ交換するために必要なジャッキとトルクレンチ(車載工具などで可)を1セット準備しておきましょう。
メガネレンチ(13mm、14mm、17mm)
ブレーキ周りのボルトや部品を取り外したりするために、14mm、17mmのメガネレンチ(車種によって異なる)が必要になります。
出典)ディスクブレーキ|AKEBONO
モンキーでも代用可能な場合もありますが、特に14mmと17mmの部分はボルトが固く締め付けられているので、できればメガネレンチを用意しておいたほうがいいと思います。
ブレーキのキーキー音の具体的な消音方法
ここからは、ブレーキのキーキー音を消す具体的な方法についてお話していきます。
車をジャッキアップしタイヤを取り外す
まずはじめに車載工具&ジャッキを使ってタイヤを取り外していきましょう。
キャリパーの後ろのボルト(14mm、2ヶ所)を緩める
次に、キャリパーの後ろにあるボルトを緩めていくのですが、その前にハンドルをこんな感じで切っておくと作業がしやすくなりますので、右側の作業をする場合は右側にハンドルを切っておくと良いでしょう。
で、緩めるボルト(14mm、2ヶ所)はこちら。
かたく固着している場合がありますので、モンキーではなくメガネレンチを使うことをおすすめします。
下側のボルトを完全に取り外し、上側のボルトを緩めることができると、こんな感じでブレーキキャリパーを持ち上げることができます。
次の工程でブレーキパッドを取り外していきますので、こんな感じでキャリパーを上に持ち上げて固定しておきます。
古いブレーキパッドを取り外す
この段階になると、ブレーキパッドを手で簡単に取り外すことができます。
反対側のブレーキパッドもこんな感じで簡単に取り外すことができます。
取り外したブレーキパッドには再利用する金属のパーツ(シム)が一つのブレーキパッドに1~2枚ほどついていますので、それをマイナスドライバー等で丁寧に取り外していきます。
ブレーキグリスを塗布する
いよいよブレーキに鳴き止め対策を行っていきます。
まずパッドの裏面(ローターと接触しない側)にグリスを塗布していきましょう。
グリスを塗り方のポイントは、薄く均一に塗り拡げるということです。
厚く塗ってしまうと、パッドとシムの隙間などからグリスが飛び出してしまいますので、なるべく薄く均一に塗り拡げるようにしてみてください。
パッド裏面にグリスを塗り終えたら、シムをパッドに被せ、更にその上からグリスを塗っていきます。
グリスを塗り終えたら、一番上に被さるシムを取り付けていきます。
これでブレーキパッドやシムへのグリスの塗布は完了です。
マウンティングブラケットやキャリパー、シリンダーにグリスを塗布する
ブレーキパッド以外にもグリスを塗布する場所があります。
まずはマウンティングブラケットとブレーキパッドが接するこの部分。
表側のブレーキパッドをはめ込む部分(上下)にグリスを塗布していきましょう。
裏側のパッドをはめ込む部分にも同様にパッドグリスを塗布しておきます。
後は、ブレーキパッドが接するブレーキキャリパーのこの面と、ピストンの当たり面にもグリスを薄く塗っておいてください。
塗布する際の注意点としては、ディスクローターにパッドグリスが付かない様にすること。
万が一ディスクローターにグリスがついてしまったら、ブレーキが効きにくくなってしまいますので、ディスクローターに付着したグリスは布とパーツクリーナーなどを使って、きれいにふき取っておきましょう。
ここで紹介している一連のグリス塗布をやらない人もいますが、これをやっておかないとブレーキを踏み込んだ時にキィ・・・という感じで鳴いてしまう確率が高くなります。
パッドグリスをシムやマウンティングブラケットなどの当たり面まで丁寧に塗っておけば、高い確率でブレーキの鳴きを防止することが出来ますので、ぜひ施工しておくことをおすすめします。
逆の手順でブレーキ周りを組み立てる
後は、逆の手順でブレーキ周りを組み立ててやれば、ブレーキの鳴き止め完了です。
作業を終えた後は、車をゆっくりと動かしてみてブレーキがちゃんと効くかどうか確認しておき、その後、ちゃんとブレーキが効くことを確認できてから、ブレーキが鳴かなくなったか試していくようにしましょう。
最後に一言
今回は、【ブレーキから異音】キーキーうるさいブレーキの鳴き止め方法についてお話しました。
一般的な街乗り用の車の場合、このパッドグリスを使った方法で大半のブレーキの鳴きを止めることができます。
ただし、スポーツ走行を前提に強いブレーキングに耐えるられるようなブレーキや外国車のブレーキの場合、上記で登場してきたシムがなかったりすることがあります。
これは、ブレーキの制動力を最優先とし、ブレーキの鳴きはそこまで重要視されていない設計になっている場合があり、このようなケースだと今回紹介したようなパッドグリスを使うような対処療法ではなく、ブレーキの鳴きをパッド交換やロータ研磨、ブレーキのオーバーホールなどで新品の状態に近づけて治すという方法が有効です。
これらの車の場合は素人ではなかなかブレーキの鳴きを抑え込むことは難しいと思いますので、ノウハウのあるショップの人にお願いするのがベターだと思います。
是非参考にしてみてくださいね。
それでは!