エンジンがかからなくなるバッテリー上がりの本当の原因を特定する方法

バッテリー上がりの原因

突然、車のバッテリーが上がってしまい、エンジンがかからなくなってしまった・・・。

どうにかこうにかエンジンの再始動はできたものの、今後バッテリー上がりを起こさないためにも、

  • バッテリー上がりの原因は本当にバッテリーであったのか?
  • このバッテリーはどの程度性能劣化しているのか?
  • 後どのぐらい寿命が残っているのか?

ということを知っておきたいと感じているのではないかと思います。

なぜなら、もしバッテリー上がりの原因がバッテリー以外にあった場合、単にバッテリーを新品に交換しただけではまたすぐにバッテリー上がりとなってしまう可能性もあるからです。

そこで今回は、バッテリー上がりの本当の原因を特定する方法についてお話していきます。

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バッテリー上がりの原因がバッテリーにあるかどうかを見極める方法

まずはじめにお話しておきたいことは、バッテリーが上がってしまった原因がバッテリーであるかどうかを見極める方法についてです。

このことについて考える時は、まず、バッテリー上がりの原因がうっかりミスによるものか、そうでないかを考えておきましょう。

ライトの点けっぱなしでバッテリー上がり

例えば、エンジンOFFの状態でライトを点けっぱなしにしてしまっていたという場合、これはうっかりミスが原因なので、バッテリー上がりの原因はバッテリーではないということになります。

逆に、そのようなうっかりミスがない場合、ほとんどはバッテリーの劣化や寿命がバッテリー上がりの原因であり、それ以外の稀なケースとしてオルタネーターやレギュレーターなどの車両側のパーツの故障が考えられます。

この他にも、車内灯(ルームランプ)をDOORにしていたりして、ドアの開閉を検知するスイッチが故障して、ドアを閉じているのにルームランプがついたままになってしまっていたというケースもあったりします。

>>車内灯(ルームライト)が消えなくなる原因とその対処法まとめ

バッテリー上がりの原因を見極めるのが難しいのは、このバッテリーそのものの性能劣化などが原因なのか、その他のパーツが原因なのかというところになります。

プロの場合は専用のテスターなどでチャチャチャっとそれらのパーツの状態を確認して、何が原因だったのかを調べ上げていくわけなのですが、私たち素人がこのあたりのことを検証していく場合、一気にいろんなことを検証すると混乱してしまいます。

そこでおすすめの方法としては、まずはバッテリーの状態を徹底的に確認して、

  • バッテリーの状態がNG → バッテリー上がりの原因はバッテリーである
  • バッテリーの状態がOK → バッテリー上がりの原因はそれ以外にある

と考えていくのが良いのではないかと思います。

バッテリーの性能(劣化具合、寿命)を判定する方法

それでは、具体的なバッテリー性能を判定する方法についてお話していきます。

電圧

バッテリー性能を見極めるための方法としてよく見かけるのが、バッテリーの電圧を測るという方法です。

でも、バッテリーの電圧と言われても何のことかよくわからないよと感じる人も多いのではないかと思います。

このことはバッテリーの電圧とは、滝に例えるならその滝の高さの事をいいます。

電圧が高いということは、滝が高いのと同じイメージで、勢い良く電気(水)を流すためには、より高いところから流したほうがいいということです。

バッテリーの電圧を測るためには、このようなホームセンターで1000~2000円ぐらいで購入できるテスターという機械が必要となります。

バッテリーの電圧を測るためのテスター

テスターのスイッチをDCV(直流のこと、バッテリーは乾電池などと同じ直流、家庭用のコンセントなどが交流ACVです)にセットし、赤い方をバッテリーのプラス端子に、黒い方をバッテリーのマイナス端子につければ、バッテリーの電圧を測定することができます。

テスターを使ってバッテリーの電圧を測定する

ここで注意したいことは、バッテリーの電圧を測る時は、車のエンジンを始動させている時(セルモーターを回している時)の電圧を測定することが大切です。

というのも、実はバッテリーの電圧は、バッテリーから電気を取り出している時に低くなる性質があり、その電圧が低くなった状態でどれだけの電圧(滝の高さ)を保持しているかどうかがエンジンをかけるためのセルモーターを回せるかどうかの鍵を握っているからです。

バッテリー始動電圧の一般的な判定基準は以下の通りです。

バッテリー始動電圧の良否定基準

3回ほど始動電圧(セルモーターが回っている時の電圧)を測定し、その中で一番小さな値を用いて判定する。

  • 9.6V以上   → 良好
  • 9.0~9.5V → 注意
  • 9.0V以下   → 要交換

例えば、私の車の場合、始動前→始動中→始動後でバッテリーの電圧は以下の様に変化しました。

エンジン始動前(12.44V、イグニッションONの状態)

バッテリー寿命エンジン始動前の電圧

エンジン始動中(9.67V、セルモーターを回している状態)

バッテリー寿命エンジン始動中の電圧

エンジン始動後(13.92V)

バッテリー寿命エンジン始動後の電圧

このような感じで、バッテリーの電圧はどのタイミングで測定するかによって電圧の値が大幅に変わってきますので、バッテリーの寿命を知りたい場合は、エンジン始動中の電圧を測定チェックしてください。

ここで注意してほしいことが一つ。

バッテリー上がり後など、充分にバッテリーに電気が蓄えられていないような状況でこの方法を試さないでください。

というのも、この方法はエンジン始動でバッテリーに負荷をかけた状態でバッテリーの劣化を確認する方法なのですが、このことが原因でまたすぐにバッテリーが上がってしまってエンジンが始動できなくなってしまった・・・ということになっては意味が無いからです。

この方法は日常の点検の時などバッテリーに異常がないときに使う方法であり、一番バッテリーの状態を知りたいバッテリー上がりの直後など、バッテリーが弱っているときには使えない方法だということを知っておきましょう。

なお、ハイブリッド車や電気自動車の補機バッテリーの場合もこのような方法で電圧を測ることができないため、次に紹介するバッテリーのCCA値を測定する方法を参考にしてみるといいと思います。

CCA値

次に紹介するのが、バッテリーのCCA値を測定する方法です。

CCAとはコールドクランキングアンペアの略で、鉛バッテリーが持つ固有の「性能基準値」のことを言い、「-18℃±1℃の温度で放電し、30秒目の電圧が7.2V以上となるように定められた放電電流」と定義されています。

例えば、CCAが480Aのバッテリーとは、「マイナス18℃で480CCAの定電流放電を30秒間行っても、7.2V以上の端子電圧を維持できるバッテリーである」という意味で、このCCA値が大きければ大きいほどバッテリーの性能が高いということになります。

先ほど紹介した電圧が滝でいうところの高さであるならば、CCA値というのは滝の幅のようなものだと考えてもらうといいと思います。

出典)トロント&ナイアガラの滝|H.I.S

いくら滝の高さ(電圧)が高くても、滝の幅が狭かったりしてしまうと滝を流れる水に大きな力はありません(CCA値が小さい)が、ナイアガラの滝のように高さに加えて滝の幅が大きい場合は、その水の流れに大きなエネルギーを感じる(CCA値が大きい)ことができますよね。

基本的に、バッテリーが劣化してくるとこのCCA値が小さくなってくることが知られていて、バッテリーの内部からうまく電気を引き出せなくなってくると思ってもらうといいと思います。

このCCA値を測定するためには、CCAテスターと呼ばれる機械(ネットショップで5000円程度)が必要となってきます。

バッテリーの性能を測定するCCAテスター

実際に私の車のバッテリーのCCA値を測定してみると・・・

CCAテスターでバッテリーのCCA値を測定

写真のような感じで329Aということがわかりました。

このバッテリーの新品時(設計上)のCCA値は480Aなので、本来の約68%しか性能を発揮できない状況にあることが分かります。

基本的に、CCA値は新品時の約70%以下になると交換した方がいいと言われていますので、このバッテリーは交換したほうがいいということになります。

その他のチェック項目

その他によく紹介されているバッテリーのチェック項目は以下の通りです。

  • 使用年数
    →2年以内;良好、2~4年;注意、4年以上;要交換
  • 比重点検
    →1.26以上;良好、1.20~1.25;注意、1.20以下;要交換
  • バッテリー液の量
    →下限~上限(良好)、下限以下(要補充)
  • バッテリー液の色
    →無色透明;良好、濁りや汚れ;要交換

最近のバッテリーはメンテナンスフリーと言われるものが多く、バッテリー液を抜き取ったり、継ぎ足したり、液の状態を確認したりすることができないものが多くなってきているため、上記の方法の中では使用年数ぐらいしかチェックできないのが現実です。

ただし、知っておいてほしいこととしては、先程までに紹介した始動電圧やCCAの値が正常であれば、基本的にはバッテリーを使い続けることができます。

使用年数に関しては、バッテリーの端子が折れたり、ケースにヒビが入ったりなど、物理的な破損のリスクが高くなるというイメージを持っておいてもらうといいでしょう。

バッテリーの性能の低下を引き起こす主な原因はサルフェーションと呼ばれる現象で、この現象が進行するに従って、バッテリーの性能(始動電圧、CCAなど)が低下していき、最終的にはエンジンを始動できなくなってしまいます。

なお、サルフェーション除去機能を搭載したパルス充電器によるCCA値の改善効果については、下記の記事が参考になると思います。

>>【パルス充電器】車のバッテリー性能をDIY再生させる方法

バッテリー上がり以外の主な原因

ここからは、バッテリー上がり以外の車が動かなくなる原因についてお話していきます。

オルタネーター(レギュレーター)の故障

オルタネーターやダイナモと呼ばれるエンジンルームに搭載されている発電機が故障すると、バッテリーが上がってしまいます。

出典)オルタネーター[エンジン]【おるたねーたー】|カーセンサー

車は走行中にエンジンとベルトで繋がれた発電機で電気を発電しながらバッテリーに充電をしています。

その発電機が壊れてしまうと、バッテリーに電気が充電されなくなるため、バッテリーに蓄えられていた電気はなくなる一方となり、最終的にはバッテリーが上がってしまいます。

ただし、オルタネーターが故障した場合、バッテリーが上がってしまう前に運転席のスピードメーター内に充電警告灯と呼ばれるバッテリーの形をした警告灯が表示されます。

出典)エルグランド説明書|NISSAN

この充電警告灯に気付かずに走行を続けた場合、バッテリーに溜まっていた電気がなくなった時点でエンスト、バッテリー上がりという感じになってしまいますので注意が必要です。

ちなみに、オルタネーターが正常であるかどうかを判定するためにはオルタネーターの端子にテスターをあてて発電電圧を測定して判定すればOKという記事をよく見かけますが、自動車の場合は発電機の役割をするオルタネーターに、電圧や電流を整えるためのICレギュレーターもくっついているため、オルタネーターからの出力電圧が正常でもICレギュレーターが故障している可能性もあります。

オルタネーターやICレギュレーターの状態を正確に把握するためにはオシロスコープと呼ばれる装置(安いもので約4~5万円ほど)で電流の波形を見る必要ありますので、私たち素人の場合は、メーター内に充電警告灯が点灯している(た)かどうかで、バッテリー上がりの原因がオルタネーターの故障だったかどうかを判断するのがいいのではないでしょうか?

出典)デジタルオシロスコープ|モノタロウ

オルタネーターの故障判定については、こちらのサイトの解説が詳しいですので、ご参考まで。

出典)オルタネータの構造と診断方法|SEIBIKAI

ファンベルトの緩みや切断

走行中にバッテリーを充電するための電気を発電するオルタネーターは、エンジンからファンベルトで電気を発電するための動力を受け取っています。

出典)ファンベルト調整-ジムニーJA11初心者工房-

そのファンベルトが劣化して緩みが出たり、または切断してしまうとオルタネーターに発電するための動力が伝わらなくなるため、バッテリーが充電されず、最終的にはバッテリー上がりになってしまいます。

ただし、ファンベルトが切れた場合、先程お話したメーター内に表示される充電警告灯などチェックランプが点灯します。

ファンベルトが切れている場合、エンジンを冷却するためのウォーターポンプなども動作していないことが考えられますので、そのままの状態で自走するのは避け、JAFなどを呼ぶことをおすすめします。

バッテリーケーブルの接続不良

これも稀に見かけるのですが、バッテリーにつながれているケーブルが接続不良の場合も、バッテリー上がりになる可能性があります。

正確に言うと、バッテリー上がりと言うより、ケーブルの接続不良により、バッテリーの電気を取り出せなくなってしまってエンジンをかけることができないという感じです。

バッテリー交換のマイナスケーブルを外す

バッテリーが原因のバッテリー上がりの場合、キーをONにした時にメーター内の表示が反応したりなど多少の反応が見られることがほとんどなのですが、ケーブルの接続不良の場合、何をしても全くの無反応であることが特徴です。

バッテリーケーブルの接続不良の例

  • バッテリーケーブルが外れている、端子部分が緩んでいる
  • バッテリー端子やケーブルターミナルのサビが激しく通電していない

この場合、バッテリーケーブルを正しく取り付ければ、またすぐにエンジンをかけることができるようになりますよ。

最後に一言

今回は、バッテリー上がりの原因とバッテリーの寿命(交換時期)を見極める方法についてお話しました。

バッテリーが寿命で交換時期であるかどうかは、バッテリーの始動電圧やCCA値を測定することで判定が可能です。

最近では、古いバッテリーを特殊な充電方式で再生した再生バッテリーが新品の半額以下で購入できるようになってきましたし、パルス充電という方法で充電すれば今使っているバッテリーをDIY再生することも可能です。

>>【パルス充電器】車のバッテリー性能をDIY再生させる方法

バッテリー上がりにはいろんな解決策があるということを知っておきましょう。

それでは!

バッテリー
DIYメンテナンスマニア

当ブログ運営者。幼い頃からエンジン付きの乗り物に憧れがあり、大人になってから大好きな車のメンテナンス整備(ユーザー車検含む)を存分に楽しんでいる。自動車の個人売買(ヤフオクやメルカリなど)の経験もあるため、自分で名義変更手続きする方法も熟知。メカを楽しむ人向けにDIYメンテナンス情報をお届けしている。

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